並木 秀之 さん
法学部法律学科 1975年度卒業
投資ファンド終身特別顧問
自分にできること、得意なことを見つけ出し
それを磨けば自ずから道は拓ける。
100周年を機に制定されたこの新しいタグラインは、
大東文化大学のあるべき姿を表現しています。
大東文化大学は、創立以来、
漢学をはじめとする様々な文化との出会いを通じて
社会を豊かにすることを目指してきました。
文化と向き合って100年。
地域・領域・時代を超えた多彩な文化が交差し、
出会う場へ。
今日も新しい価値が生まれている。
その真ん中には、いつも、大東文化大学がいます。
真ん中に文化がある。
大東文化大学
活躍する大東人SP
2022.10.20
1923年(大正12年)の設立以来、多くの優秀な人材を輩出してきた大東文化大学。
年代も活躍する分野も多様な本学の卒業生たちに、大学時代の思い出から現在の活動スタイルまで、貴重な話をお聴きしました。
並木 秀之 さん
法学部法律学科 1975年度卒業
投資ファンド終身特別顧問
自分にできること、得意なことを見つけ出し
それを磨けば自ずから道は拓ける。
──大東文化大学へ進学した理由をお聞かせください。
並木:先天性の障がいを持っているため、健常者とまったく同じ働き方はできないだろう、そう考えていました。そのうえで経済的に自立していくためには、やはり高等教育を受ける必要がある。それでまず、大学への進学を決めました。大東文化大学を選択したのは、浪人時代に大東文化の先生と知り合ったことがきっかけです。その先生から法学部が新設されることを聞き、第一期生となる面白さ、そこでの学びが将来に役立つのではとの期待から入学を決めました。
──大学時代、印象的な出来事はありましたか。
並木:大学に入るまで、障がいの関係で関東圏外に旅行したことがありませんでした。しかし大学入学後には、クラスやゼミの友人のサポートを得て、北海道から九州まで旅する機会に恵まれたんです。そこで多くのものを見聞きすることができ、自身の世界が広がりました。あのとき私を誘ってくれた友人たちには、今でも感謝するばかりです。
──大学卒業後の歩みを教えてください。
並木:当初は大学教員になることを目指していたのですが、挫折。会計事務所に勤務することになりました。そこで企業の破綻処理に関わるようになり、のちに独立して破綻整理と企業再生を行う会社を設立したんです。しかし大病を患い、会社を清算しなければならないはめに。一時は生活保護も受給しましたが、幸いなことに外資系銀行から声がかかって入職、住宅ローンのプロジェクトチームに参加しました。その後インベストメント業務に携わり、経験を積んでから独立、現在に至ります。
──なかなかに波乱万丈な人生ですね。
並木:そうですね。ただ、振り返ってみると、私は自ら希望して職業を選んできたわけではないと思う。与えられた場所で自分にできること、得意なことを見つけ出して、次へとつなげていきました。その礎には、大学での教育があったと思います。
——これまでのご経験において、大学での学びはどう役立ちましたか。
並木:4年間の大学生活で、「考える」習慣が身についたと思います。例えばゼミでは、定説に対しても疑問を持つ、違う角度から自分なりの考えを構築するといったことが受け入れられていました。そのおかげで卒業後も、何事も鵜呑みにせず、状況を大きく捉え、自分の考えで物事を動かす姿勢を貫くことができた。これは私の人生のすべての場面において、生きる手助けになったと感じます。
──現在はどのような活動をなさっていますか。
並木:投資ファンドと直接に関わってはいませんが、自社グループに所属する若いマネジメントたちに対し、求められれば意見を述べたりしています。それがお客様の喜びや、社員の成長につながれば。残りの人生は、どんな形でも人様のお役に立てることを行っていきたいですね。その結果、これから生まれてくる人にとって、少しでも生きやすい世の中を残せたら嬉しいと考えています。
──並木さんは継続して大学への書籍の寄贈、書籍購入資金の寄附を行われています。
並木:外資系銀行勤務時代、開発途上国を多く訪れました。そこで強く感じたのは、高等教育の必要性、重要性です。その意味で、私を育ててくれた母校にも何かしらの貢献をしたいと思い、寄附等を続けてきました。今後はそれだけでなく、奨学金の設立なども視野に入れています。
──これからの大東文化大学に対し、どんな思いを抱いていますか。
並木:当然ですが、私の知っている大東文化大学と、今の大東文化大学は大きく違っています。それと同じように、これからも大学は変化を続けていくでしょう。けれどそのベースには、地道に学生を育て、教育し、個人の持つ才能を高めていくという大学としての働きがある。その点においては揺らぐことなく、それでいて時代に沿った進化をしていってほしいですね。
──最後に、後輩たちへのメッセージをお願いします。
並木:学生時代は悩み多き時代と言われますが、ほとんどの人は人生において、ずっと悩みを抱えて生きているものです。それでも好きなこと、得意なこと、目標があれば幸せではないでしょうか。とはいえ、それらを持たず、漠然とした不安にさいなまれている人も多いかもしれません。そんな人は、自身に与えられた要素と世にあるルールをしっかり認識して、自分なりによく考え、一日一日丁寧に経験を積み重ねていってください。経験とはときに、いや往々にして知識や才能を凌駕します。私も人生を通してそれを実感してきました。ですから勇気を持って、前を向いて進みましょう。私が願うのは、あなたの中にいる「もっと素敵なあなた」を早く見つけてあげること。そしてそれを大切にしていくことです。