そして2022年1月。いよいよ書き初め大会の月を迎えます。当初は対面で行う予定でしたが、感染症が猛威を振るっていたため、急遽対面実施は中止となってしまいます。しかし、板橋区教育支援センターの皆さんや現場の小・中学校の先生方のご協力を得て、コンクール形式で書き初め大会を開催することになりました。
本来であれば、ワークショップと書き初め大会の二部制で、ワークショップでは自分が筆で書いた文字がレーザーで刻印されるドアプレートのデザイン制作をする予定でした。
100周年を機に制定されたこの新しいタグラインは、
大東文化大学のあるべき姿を表現しています。
大東文化大学は、創立以来、
漢学をはじめとする様々な文化との出会いを通じて
社会を豊かにすることを目指してきました。
文化と向き合って100年。
地域・領域・時代を超えた多彩な文化が交差し、
出会う場へ。
今日も新しい価値が生まれている。
その真ん中には、いつも、大東文化大学がいます。
真ん中に文化がある。
大東文化大学
学生取材企画
2022.10.03
そう思った方は多いのではないでしょうか。大東文化のこのロゴは、サイトのトップページにはもちろん、パンフレット、運動部のユニフォーム、それから実家に送られてくる成績の入った封筒など、様々なものに印字されていて、大東に通っている学生なら見かけない日はないかもしれません。
ところで、改めて見てみると、この「大東文化大学」の文字って特徴的ですよね。
ロゴと言えば、シンボルマークとフォントで綺麗にデザインされているイメージがありますが、大東文化大学のロゴは、とめやはらいからも見える力強さが文字に宿っており、特に印象に残ります。
それもそのはず、このロゴは大東文化大学で教鞭を執っていた書家が実際に筆で書いた文字なんです!
大東文化といえばスポーツじゃない? いやいや、それだけではありません!
漢学振興を建学の理念とし、日本の書道教育の最高峰であり、著名な書家を輩出している大東文化大学。今回は、その強みを活かした100周年記念プロジェクトの一つ、大東文化大学が主体となって開催した板橋区書き初め大会in大東文化大学について紹介していきます。
この記事を書く際に、快くインタビューを受けてくださったのは書道研究所事務室に勤務している河﨑隆通さん。書き初め大会の発起人です。パワフルな方で、インタビュー中も楽しくお話してくださいました。
目次
1. 大東文化大学、書道教育の足跡
2. 板橋区書き初め大会in大東文化大学のウラガワ
3. 2023年度の開催に向けて
1. 大東文化大学、書道教育の足跡
なぜ100周年記念プロジェクトの一環として、書き初め大会が行われることになったのか。そのためには、まず「書の大東」と呼ばれる大東文化大学の書道教育の質の高さについて語らなくてはなりません。
1950年代後半、文化勲章受章者である青山(あおやま) 杉(さん)雨(う)さんが教授となったことがきっかけとなり、1969年には書道文化センター(現:書道研究所)が開設され、「書道の振興と書技の向上」を目的とした書道講座や展覧会などを展開していきます。また、2000年には全国で初めて書道学科が開設されました。現在、書道学科では専任教員を日本で最多の10人を有しており、書作では、漢字・かな・篆刻の3種類をも学ぶことができる唯一無二の環境が整っています。こうした書道教育があって、著名な書家の方々も多く輩出されました。新元号「令和」の文字が話題になったことは、今でも記憶に残っている方が多いのではないでしょうか。この「令和」、その前の年号の「平成」も、本学の卒業生が書いているのです。他にも大河ドラマのロゴ制作など、大東文化大学で書道を学んだ人達は色々な場所で活躍しています。
ご本人が大学のために揮毫したものです!!!
2. 板橋区書き初め大会のウラガワ
「2020年以前から企画は考えていたんですよ、うちがやらなきゃどこがやるんだってね」
上述したように、大東文化大学には、培ってきた書道教育のノウハウがあります。「いつか大東の書道を活かした企画をしたいと思っていた」と河﨑さん。大東文化大学と板橋区教育委員会が協定を結んでいることがきっかけとなり、板橋区と協力して書き初め大会を企画することになりました。
2020年9月、初めての打ち合わせ。ターゲットは板橋区立の小・中学校に通う児童と生徒であったため、板橋区教育委員会に書き初め大会の構想を話しました。賛同を得たことで、同年11月には代表校長の先生方との打ち合わせを行うことになります。その中で、校長先生方から書き初め大会に先立って児童・生徒とふれあってみないかと提案されました。そこで、2020年12月に、2つの学校で書き初め指導をすることになりました。実際に、児童・生徒の様子を見た河﨑さんはこう思います。
「教えたら教えるだけどんどん吸収していってくれる。筆で書く楽しさを教えるのも面白いし、感じ取ってもらえたのが嬉しい。子ども達に教える面白さってすごい!」
書き初め指導の時、子ども達は生き生きとした表情を見せ、書道文化を楽しんでいたそうです。それだけではなく、大東文化大学を身近に感じてもらえるきっかけになったのではないか。この試みは好評を博し、書き初め大会の成功が予感される結果となりました。
そして2022年1月。いよいよ書き初め大会の月を迎えます。当初は対面で行う予定でしたが、感染症が猛威を振るっていたため、急遽対面実施は中止となってしまいます。しかし、板橋区教育支援センターの皆さんや現場の小・中学校の先生方のご協力を得て、コンクール形式で書き初め大会を開催することになりました。
本来であれば、ワークショップと書き初め大会の二部制で、ワークショップでは自分が筆で書いた文字がレーザーで刻印されるドアプレートのデザイン制作をする予定でした。
書き初め大会の褒賞は、板橋区長賞や板橋区教育委員会教育長賞、板橋区観光大使杉浦太陽賞などが設けられ、受賞者には後日賞状が送られました。「杉浦太陽賞」には、板橋区の観光大使である杉浦太陽さんのサイン入り!という贅沢な仕様です。他にも、書き初め大会の全参加者名と特別賞受賞者の写真と作品が掲載された書き初め大会についての新聞を作成し、参加者と参加した学校に送りました。このように形に残すことで「子ども達の思い出に残るようなことがしたかった。今回のイベントは板橋区教育支援センターの全面的なサポートや板橋区の小・中学校の先生方のお陰で開催でき、本当に嬉しかった」と河﨑さんは力強く語っていました。
書き初め大会では、想像以上の参加希望者が集まりました。実施した後も保護者からの電話があり、また来年も参加したいという声をいただいたそうです。第一回目の書き初め大会は大成功に終わったといえるでしょう。
3. 2023年の開催に向けて
書き初め大会は100周年記念プロジェクトの一環として行われており、2023年と2024年にも開催されることが決定しています。今後はぜひ対面で行いたいと河﨑さんは意気込んでいらっしゃいました。次回は、2023年1月に開催することが決まっており、ワークショップは行わず書き初め大会のみで午前午後入れ替え制の予定となっています。対面の場合は、会場にてそれぞれが書くスペースを作り、一人一人が集中して書と向き合える環境を作るそうです。保護者の付き添いは可能ですが、会場には入れません。紙を用意し、墨を筆に含ませ、心地よい緊張感の中で最初の一筆と向き合う。大学側で配られる半紙はたったの3枚。限られた枚数の中で、納得がいく良いものを一人で選ぶこと。最初から最後まで自分の力でやることが重要で、書道の醍醐味の一つなのです。
この企画は、「真ん中に文化がある。」のタグラインの通り、地域と書道という文化を繋ぐ一助となったのではないでしょうか。脈々と受け継がれてきた書道文化を若い世代にも継承していかなければならない。若い世代を通じて、さらに書道文化と書技の振興を目指す。そこには「書の大東」と呼ばれているからこその誇りと伝統を感じました。
もしかしたら、この書き初め大会がきっかけとなって、未来の書家が生まれる日も近いかもしれませんね!
100周年プロジェクトでは、大東文化大学の書道を広めるため、個性あふれる企画が進行しています。随時、別の企画についての記事も掲載していく予定です。お楽しみに!
※本記事は100周年記念プロジェクトを学生が取材、発信していく「学生取材企画」によるものです。