長野 僚 さん
文学部教育学科 2010年度卒業
「Try chance」代表/執筆家/講演家
誰かの力になるために、どんどん行動を起こしていく。
それは結局、周囲だけでなく自分も幸せにしてくれる。
100周年を機に制定されたこの新しいタグラインは、
大東文化大学のあるべき姿を表現しています。
大東文化大学は、創立以来、
漢学をはじめとする様々な文化との出会いを通じて
社会を豊かにすることを目指してきました。
文化と向き合って100年。
地域・領域・時代を超えた多彩な文化が交差し、
出会う場へ。
今日も新しい価値が生まれている。
その真ん中には、いつも、大東文化大学がいます。
真ん中に文化がある。
大東文化大学
活躍する大東人SP
2022.11.02
1923年(大正12年)の設立以来、多くの優秀な人材を輩出してきた大東文化大学。
年代も活躍する分野も多様な本学の卒業生たちに、大学時代の思い出から現在の活動スタイルまで、貴重な話をお聴きしました。
長野 僚 さん
文学部教育学科 2010年度卒業
「Try chance」代表/執筆家/講演家
誰かの力になるために、どんどん行動を起こしていく。
それは結局、周囲だけでなく自分も幸せにしてくれる。
──大東文化大学、文学部教育学科を選択した理由をお聞かせください。
長野:特別支援学校に在学中、大東文化大学の学生が介護体験生として学校を訪れていました。そのため、大学自体が身近な存在だったことが1つ。学科については、子どもと関わる仕事がしたいという希望があったからです。人生を子ども、成人、高齢者と分けると、当時私が経験していたのは子ども時代だけ。けれどその経験を活かして、自分でも何か役に立つことができるのではないかという思いがありました。
──大学4年間でどんな学びを得ましたか。
長野:人との向き合い方でしょうか。障がいのある私を見て、目の前にいる人たちはどんな気持ちなんだろう、私がどのように見えているんだろう、そんなことを考えていました。そこから「相手からの見られ方」を知り、受け入れられやすい言葉遣い、コミュニケーションの取り方を磨いていけたと思います。もちろん勉学では、学びの証として東京都の小学校教諭一種免許を取得。通常の授業と並行しての教職課程履修は大変でしたが、それをやり遂げたことが自分に対する自信になりました。
──大学時代、印象に残っていることはありますか。
長野:1年次にある先生から教室移動中に声をかけられて、初めて講演をしたことです。その先生が開講していた介護系の授業で、障がいを持つ当事者としての経験を語りました。自分の体験を話すことで喜んでもらえ、誰かの役にも立つ。それがとても嬉しかったですね。結局その講演は3年次まで続けましたが、準備としての資料づくりなどは、現在行っている講演活動、団体としての活動に活かされています。この時の経験は、今の自分の原点になっています。
──長野さんは、大学のハード面でのバリアフリー化にも協力されたと聞いています。
長野:自身の経験をもとに具体例を挙げて問題点を伝え、大学にバリアが「存在している」ことを知ってもらうのが第一歩でした。そのうえで大学側と話し合いながら、バリアの解消につなげていくことを意識しました。バリアの解消後には、毎回何が助かったのかをすぐに報告。こうしたアクションを繰り返すことで、バリアフリーは障がい者にとってだけでなく、一時的に怪我をしている人や、高齢になった人のためにも有効であると大学に理解してもらうことができました。結果的に、多くの人に役立つ活動ができたのではないかと思っています。
──長野さんは現在、多彩な活動をしておられますね。
長野:在学中に始めた講演活動は今も小学校や大学などで続けていますし、昔からやってきた「書くこと」は、現時点で2冊の書籍を出版することができました。「Try chance」としては、今秋(2022年秋)、これまでとは少し方向性を変えた大きなイベントの開催を予定。いずれの活動においても「広く自分の声を届けて、多くの人を笑顔にしたい」という思いがベースになっています。
──それら活動を続けるにあたり、どんなところにやりがいを感じていますか。
長野:特に授業や講演において、子どもや学生さんたちの表情がポジティブに変化していく様子を目にすると、なんとも言えない喜びが湧いてきます。短くはあっても時間を共にしたからこそ得られる驚きや発見、興奮など、彼らにとっての「初めて」を、今後もたくさん共有していきたいと考えています。私がテーマとしているのは、「ちがいはあってもいい」「ちがいも同じも真ん中に」ということです。障がいの有無を問わず、人との違いが怖くなることはあるけれど、私自身がいろいろな経験を経て、それでも今、こうして笑うことができている。だからあなたもきっと前を向いて生きていけるよ!と伝えたいですね。
──個人的な今後の目標はありますか。
長野:全国での講演活動を通してたくさんの子どもたちと対話し、「(1人ひとりの)ちがいも価値になる」ことを伝えていきたいです。以前から抱いている、子どもたちのために活動するという気持ちと熱量は今も変わっていません。ですから子どもとの関わりはさらに増やしていきたいですし、現在はスクールカウンセラーの仕事にも興味を持っています。
──これからの大東文化大学に、どんな思いを抱いていますか。
長野:大東文化大学での4年間がなければ今の私はない。そう思えるほど充実した日々を過ごさせてもらったことに、感謝しています。大学時代は人生の幅を広げる大きなチャンス。それを存分に活かせるような環境を提供し続けてほしいと思います。また、大学のバリアフリー推進についても引き続き、取り組んでいってくだされば幸いです。時代とともに大学も変化していくとは思いますが、在学生も先生も職員の方も卒業生も、それぞれに自分らしい人生を歩みながらその変化を受け入れていく。そうすれば、自ずとより良い場所になっていくのではないでしょうか。
──最後に、後輩たちへのメッセージをお願いします。
長野:大学時代は、きっと一生ものの経験と友人に出会える時。ですから、興味のあることや、信頼できる人から勧められたことには積極的にTryして、chanceを掴んでほしいと思います。もしもそれがうまくいかなかったら、次はどんどん周りの人を頼ってみてください。助けてもらうことは決して悪いことではないし、助けてもらった経験のある人は、いつか必ず助ける側に回ると私は信じています。だから助けてもらうことを怖がらず、辛くなったら早めにSOSを出してくださいね。するときっと、毎日が楽になると思います。私も周囲に助けられながら、そして時には、誰かを助けながら生きています。ぜひ一緒に、人生を楽しんでいきましょう!
【活躍する大東人100周年記念スペシャル】
長野僚さん メッセージ動画
「Try chance」代表/執筆家/講演家
(文学部教育学科 2010年度卒業)