岡 幸二郎(おか こうじろう) さん
外国語学部中国語学科 1989年度卒業
ミュージカル俳優
地元で芽生えたミュージカルへの情熱
大学時代での経験を糧に実がなるまで
100周年を機に制定されたこの新しいタグラインは、
大東文化大学のあるべき姿を表現しています。
大東文化大学は、創立以来、
漢学をはじめとする様々な文化との出会いを通じて
社会を豊かにすることを目指してきました。
文化と向き合って100年。
地域・領域・時代を超えた多彩な文化が交差し、
出会う場へ。
今日も新しい価値が生まれている。
その真ん中には、いつも、大東文化大学がいます。
真ん中に文化がある。
大東文化大学
活躍する大東人SP
2024.03.07
1923年(大正12年)の設立以来、多くの優秀な人材を輩出してきた大東文化大学。
年代も活躍する分野も多様な本学の卒業生たちに、大学時代の思い出から現在の活動スタイルまで、貴重な話をお聴きしました。
岡 幸二郎(おか こうじろう) さん
外国語学部中国語学科 1989年度卒業
ミュージカル俳優
地元で芽生えたミュージカルへの情熱
大学時代での経験を糧に実がなるまで
──ミュージカル俳優を志したきっかけについてお聞かせください。
岡:高校1年の時に女優の前田 美波里さんを観たくて、地元福岡で初めてチケットを買って観たのが劇団四季の『コーラスライン』というミュージカルでした。残念ながら当日の公演に前田さんは出演されていなかったのですが、舞台に明かりが入り、始まった瞬間にゾクゾクっと期待がふくらんだのです。観終わった後でなく、始まった途端にです!「これ、やりたい!」と思ったのです!あの時の感動は今でも忘れません。
──大東文化大学に進学された理由を教えてください。
岡:親には「ミュージカルをしたい!」と言い出せませんでした。5歳から書道を習っていたため「本格的に書道が学べる大東文化大学に行く!」と親を納得させて、上京することを目的に選んだのがこの大学でした。何とも不純な動機ですが、ミュージカルをするためにはなんとしても東京。でも私が選んだのは書道ではなく中国語でした(笑)。
──どのような学生生活を送りましたか。
岡:大東文化大学に入学し休むことなく通ってはいたものの、私がしたいのは変わらずミュージカルでした。大学1年の秋(学園祭の時)に、歌いたい衝動に駆られて大学の混声合唱団(現在休部中)の門を叩きました。入学から半年経って入部する私を先輩方は不思議がりましたが、快く受け入れていただき連日思いっきり声を出す場を確保しました(笑)。
大東文化大学の混声合唱団は「晋友会」と言う日本一のアマチュア合同合唱団に所属していて、学生ながら小澤 征爾さんや朝比奈 隆さんと共演し、オーチャードホールの柿(こけら)落としではジュゼッペ・シノーポリ等の世界的指揮者とも共演させていただきました。
中国語の授業も楽しく、大学2年の夏休みには北京外国語学院(北京外国語大学の前身)での短期語学研修に参加したりと、キャンパスライフもエンジョイしていました。
そして卒業の年、意を決し劇団四季のオーディションを受け、見事合格しました!また混声合唱団最後の定期演奏会プログラムでは、私が振り付けと演出をしたミュージカル仕立てのディズニーメドレーも行いました。
──大学時代の経験で、現在の仕事に活きているものはありますか。
岡:大学をしっかり4年間で卒業し、念願のミュージカルの世界、しかも高校生の時から想いを馳せた劇団四季に入る夢も叶いました。「ミュージカルの世界に行ったら折角学んだ中国語も使うことがないな」と思っていたら、何と劇団四季での初公演が中国を舞台にした『李香蘭』でした。この舞台には中国公演があり、私は通訳兼出演者で1ヶ月以上参加することになりました。作品の中で歌う「中国と日本」という歌の中国語バージョンの歌詞も担当させていただきました。
──最後に、後輩たちへのメッセージをお願いします。
岡:大東文化大学創立100周年おめでとうございます。卒業生のひとりとして心よりお祝い申し上げます。
私はその中のたった4年間しか関わっていませんが、大東文化大学で経験させていただいた様々なことは、時間が経ち実になっています。高校1年の時に種子を見つけ、それを植える場所を大東文化大学と決め、何が良いかも判らず色々な栄養を与え、芽を出し成長し幹を太くする。そして数年後、それに花が咲き、実がなる。
私の姿を見た後輩の一人が「大東文化大学からもミュージカルやっている人が出たんだ!」と劇団四季を目指し合格しました。今、その後輩は『オペラ座の怪人』の主役をやるまでになっています。私の「実」が次の世代にまで繋がったのです。一言に100年と言っても様々なストーリーがその中から生まれ、そしてそれが歴史となっていきます。
物事を成し遂げるには近道もあるかも知れませんが、遠回りしてもそれは無駄ではありません。大学4年間は人生に於いて大事な時期です。迷い、戸惑い、楽しみ、泣き、笑い…心の襞(ひだ)を沢山作ってほしいです。
プロフィール)
福岡県出身。大東文化大学では中国語を専攻。
後に劇団四季にシーズンメンバーとして参加。1994年『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役をオーディションで射止め、その華やかな風貌と圧倒的な歌唱力で一躍ミュージカルスターへと躍進した。2003年からは同作品でジャベール役を演じ、17年にわたり『レ・ミゼラブル』に参加した。
近年2.5次元ミュージカルにも進出しミュージカル『刀剣乱舞』 鶴丸国永 大倶利伽羅 双騎出陣 ~春風桃李巵~や『MASHLE』等にも出演。
ミュージカルの他、ストレイトプレイやTV(NHK大河ドラマ『義経』、TBS『VIVANT』等)、ラジオ、フルオーケストラからライブハウスまでのコンサート、トークショーなども精力的に行う。
CDはソロアルバムとして、『Love Collection』『The Prayer』『Best of Musical』『I am what I am』をリリース。
また、ミス・サイゴンを機に『ミス・サイゴン基金』を立ち上げ、ボランティア活動にも熱を注ぐ。
九州大谷短期大学客員教授。