3月1日、2020年も就活がいよいよ本格始動。
新卒採用の企業エントリーが一斉に始まる3月1日を目前に控えた、2月某日。板橋キャンパスの多目的ホールには多くの3年生が集合していました。それぞれスーツに身を包み、少し緊張した面持ちです。それもそのはず、これから皆さんが行うのは就活そっくりの模擬集団面接なのです。
キャリアセンター主催の「面接トレーニング講座」は3年生を対象とした特別講座で、参加した学生からの満足度が高い、伝統あるイベントです。
就職活動で誰もが経験する採用面接。その場で必ず役立つ実践的なトレーニングを行う内容で、2020年は板橋校舎で2月12日と18日の2日間に渡り行われました(東松山校舎では2月14日実施)。
講師として面接を行うのは、現役の企業採用担当者の皆さん!
面接官役となる講師の皆さんは企業採用担当者として、年間数百人以上の志願者と向き合っている、いわば面接のプロフェッショナル。
第1回目となるこの日は、住宅・金融・自動車・IT・システム・エネルギー・医療用品・医薬品・インフラ・交通・製造など、幅広い業界からお集まりいただきました。業界が違えば、採用面接で重視されるポイントや、マッチングする人材のタイプも違います。教室を面接会場として、本番と同じ様式で集団面接をご指導いただきます。
学生の中には、いろいろな企業の模擬面接トレーニングを受けるために、2回とも参加するという人もいます。大東の卒業生も活躍している企業も多く、学生たちも興味津々です。
就活のはじめの一歩は、「履歴書」の書き方から。
模擬面接トレーニングの前に、学生たちは事前に記入した履歴書を提出してあります。この履歴書は、面接をする講師の方々にとっては重要な資料となり、「自社の採用面接に来た学生から提出されたもの」という視点でチェックされます。当たり前ですが、履歴書を書くところからトレーニングは始まっています。
履歴書は、たった一枚の紙かもしれませんが、企業の採用担当者はそこからたくさんのことを読み取ります。履歴書の段階で選考に漏れないためには、どのように記入すればよいのか、ただの「履歴」を書き連ねるだけにとどまらず、何度も推敲を繰り返して、納得のいく履歴書に仕上げていきましょう。
じっくりと時間をかけて丁寧に仕上げた履歴書は、必ず読む人の目に止まり、「この人の話を聞いてみたいな」と思わせることができます。伝えたいことを詰め込みすぎなくても、書き尽くせなかったことを、面接の場ですべて伝えきるために、第一歩になる自己紹介のツールと思いましょう。面接トレーニングでも、一枚の紙から会話の引き出しが生まれ、コミュニケーションと自己アピールが始まっていきました。
入室から退室まで、本番さながらの模擬面接
いよいよ、面接トレーニングが始まります!
模擬面接の流れは、次のようになっています。
1.各室に最大6名の学生が入り、面接を受ける側と見学する側の半々に分かれます。
2.時間内で途中交替して、フィードバックを行い、両方の立場を体験します。
3.さらに、違う講師で同じ流れをもう一度行い、ステップアップにつなげます。
講師は実際に自社で行っている面接と同じように、自由に模擬面接を行い、それぞれの学生に良かったところや気になった点、改善ポイントなどをフィードバッグしてくれます。
面接の様子を見ている側の学生たちも、面接を受けている人たちの良かった点や、気付いた点を、どんどんメモしていき、フィードバックします。
面接を受けている自分を客観的に見ることはできません。講師だけでなく他の参加者からの意見をもらい、お互いに学びを深めていくことができるんですね!
面接官は学生のどんなことを見ているのでしょう?
履歴書のここを見る!
「手書きで丁寧に書かれたものは分かります。鉛筆の下書きや修正のあとが見えたり、判子が曲がっていたり欠けていたりしないものを用意してくださいね。」
「履歴書ではその人の「成長」を見ます。どのぐらいの期間で何を経験してきたのか、どんな結果を出してきたのか、取り組みやあゆみから察することができる人柄があります。それはそのまま、入社後の成長への期待につながり、伸びしろを見たいと思います。」
複数の講師から聞かれた言葉「人間力」
「優秀な学業成績や、スキルを持っているのは、もちろん素晴らしいこと。でも、面接で重視されるのは社会人となって一緒に働く人の、人となり。つまり、「人間力」です。協働する仲間とのコミュニケーションが取れる人、推し量る力がある人、柔軟に調整する力がある人など、人間性を評価する企業が増えています。」
ネガティブワードではなく前向きに着地する。
「よく長所と短所を聞かれますが、実は相反しているようで共通点があるものです。例えば内気で友人が少ない…という短所を挙げたとしても、『広く浅くよりは狭く深い密な関係性を築ける』とか、キラリと光るポイントを見つける力が生きてきます。」
「苦労話や失敗談は、その経験を通じて何を学び、どう自分の強みに変えていったのかという発展が肝心。」
失敗はするほどいい!それが面接トレーニングの醍醐味です。
模擬面接も2クール目に入ると、少しずつ緊張が解けてきて、学生たちも失敗を恐れずに自分らしさを出そうとチャレンジしたり、表情も豊かに、だんだん積極的になってきました。
学生同士のフィードバックで聞かれた改善点も(例えば・・・間違った敬語の使い方、立ち居振る舞い、待ち方、話の聞き方、つい出てしまう口癖、姿勢、目線、手の動作、一人称の選び方など)、客観的に見つけてもらい、すぐにその場で正して実践できるのが「面接トレーニング」の最大のメリットなのです。
やっぱり出た!深掘り質問の秘訣。
面接の場で多いのが、一つの質問から深掘りして、対話が発展していく例。
●たとえば「学生時代に頑張ったことは?」からの深掘りは?
学生「教育実習を頑張りました」→ 面接官「教育実習の何を頑張りましたか」→ 学生「生徒とのコミュニケーションの取り方です」→ 面接官「それは、これまで友人間などのコミュニケーションと何が違うのですか」→ 学生「友人との対話は自分の言いたいことを言って完結していたけれど、逆に「聞く側」になることを学びました」→ 面接官「自覚できる変化はどんな時にありますか」→ という風に、教育実習というキーワードから対話が発展していきました。
講師からのアドバイスは
「面接で聞かれるのはすべて「自分」のこと。他の誰よりもよく知っている「自分自身」について、一つひとつ答えていけば正解ですから、落ち着いて、自分の言葉で伝えてください!」
就職と恋愛の共通点!?目からウロコのアドバイスも。
「ある企業を受けて、ご縁があったりなかったりするのは、人も会社も同じで、タイミングや相性があるもの。時代の変化にともなって副業可能な企業も増えているとはいえ、基本的には就職できる企業は一人一社で、そこに勤めている間は「その道」に専念するのが通例です。人が同じ会社で長く働き続けるのは「いいお付き合い」ができているということ。皆さんもそういう就職先に巡り合いたいですね。
なかなか結果がでなくても落ち込む必要はなくて、もっと自分に合った相手(企業)と巡り合うための通過点と思えばいいんです。」
・・・なるほど!妙に納得してしまいます。
学生たちの面接あるある!こんな時どうする?
● 話している途中で、何を質問されたのか分からなくなってしまった!
「緊張のあまり、頭がまっしろになってしまって・・・」と、質問の答えに詰まる学生もいました。
講師からのアドバイスは「もう一度聞いても大丈夫」。誠実に答えようとしていることにマイナスの印象は受けないですし、無理して話し続けてつじつまが合わなくなるよりも、聞き直すほうが良いです。
● とにかく緊張しすぎてしまう!
「緊張することは、悪いことではないから安心していいですよ。」と、ズバリ。
妙に場慣れしすぎていたり、緊張感がなさすぎる人よりも、がちがちに緊張していても一生懸命伝えようとしてくれる人がいい。「この会社に入りたい!」という意欲を感じるのは、
誠実にその場に挑んでくれていることが感じられる学生です!
● 質問の答えを考える時間をもらいたい!
沈黙してしまう前に、「少し時間をください」と切り出してもOK。即答できないからといって落とすようなことはなく、逆にそういった場面での「企業側の対応を見る機会」として受け止め、一呼吸置く心のゆとりを持っていたいですね。
模擬面接終了後は採用担当者の方々とぐっと身近に!
面接トレーニングの修了後に、講師の皆さんを囲んで懇親会が行われました。
学生たちは数時間前の緊張した表情とはまるで違う、いきいきとした表情で、講師とのコミュニケーションを取れるようになり、テーブルごとに和やかな交流を深めていました!
企業の採用担当者がどんなことを考えて、どんなところを評価して面接を行っているのか、参加した3年生の皆さんはトレーニングを通して学んだことを活かして、3月から始まるエントリーに臨んでいきます。
参加者からの声もご紹介!
● いよいよ就活!と言われても、何から始めればいいのかわからなかったけど、今回参加してよかった。
● 面接官も一人の人として向き合ってくれることがわかって安心した。面接への苦手意識が、少し軽くなりました。それに、知らなかった企業の魅力も感じられました。
● 学生時代やこれまでの自分自身についてじっくり考える機会になったし、就活が本格的になる前に参加できてよかったです。社会人になった後のことを具体的にイメージして、春から頑張ります!
● いきなり本番で同じ失敗をしたら凹んでしまいそうだったことも、ダメ出しをたくさん受けた分、フィードバックをいただけたのがよかった。どういうところが不足していて、こうした方がいいという理由も分かったので、気を付けていきたいです。
● 大東生にもいろいろな学生がいるのも感じたし、刺激を受けたし、今日初対面でもかなり打ち解けられた。仲間意識が芽生えました。
● え!自分ってそんな風だったの?と指摘されてドキッとしました。
● 同級生のいいところを見て、真似したいと思うことがあった。
● 講師の先生によって、まったく違う模擬面接を体験できることが勉強になりました。
● 企業の採用担当者がどんな目線でいるのか、本音で聞かせてくださって、ありがたかったです。
講師の皆さま、参加者の皆さん、ありがとうございました!