前期学位記授与式が9月14日板橋校舎多目的ホールで行われ、43人が学部を卒業、ならびに4人が大学院博士前期課程を修了した。
学位記授与者の詳細は以下のとおり。
外国語学研究科博士課程前期課程中国言語文化学専攻1人
外国語学研究科博士課程前期課程日本言語文化学専攻1人
アジア地域研究科博士課程前期課程アジア地域研究専攻2人
文学部中国文学科2人、英米文学科2人、教育学科3人
経済学部社会経済学科16人、現代経済学科3人
外国語学部中国語学科2人、日本語学科2人
法学部法律学科1人、政治学科2人
国際関係学部国際関係学科1人、国際文化学科2人
経営学部経営学科5人
スポーツ・健康科学部健康科学科1人
社会学部社会学科1人
学長告辞・高橋進学長
卒業生・修了生の皆さん、保護者の皆さん、本日はご卒業・修了おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
皆さんは、新型コロナウイルスという未曾有の感染症に遭遇をし、青春の一時期、制限を受けながら生活を送ることを余儀なくされた世代であります。自然の驚異、猛威は現代の科学であっても「容易に乗り越えることはできない」「私たちの忍耐と工夫によってこそ克服できるのである」ということを、身を持って感じられたことでしょう。当然、その代償も大きく、4年間で、あるいは大学院の生活で、もう少し自由に成し遂げたいことがあったに違いありません。その思いの強さこそ、社会で活躍するエネルギーの原動力となると確信をしています。一方、皆さんは、どの世代の方々よりも、この時代を経験したことで、より現実的に、より力強く時代をリードされる人材になると期待をして止みません。
時代は、激流のように変化を重ね、新しい歴史を作り上げていきます。どの時代のどの局面を切り取っても、平坦に時代が過行くことはないでしょう。ましてや、これからは、時代の流れは更に加速し、予測し得ない、先の見えない時代が到来することは予見されてもおります。この、何が起こるか予測がつかない難しい時代にあって、コロナウイルス感染症との闘いを乗り切ったという経験は、皆さんを成長させたに違いありません。また、皆さんの在学中に創立100周年を迎えることができました。皆さんは、その歴史の節目に立ち会った卒業生・修了生となります。皆さんの記憶の中にその史実は一生刻まれるとともに、大学の歴史の中で皆さん自身の存在も刻まれていくことになりました。皆さんは、大東文化大学にとって卒業・修了してからもとても大切な存在であり続けます。
さて、「自己肯定感」という言葉を聞いたことはあると思います。実は、この「自己肯定感」という言葉は、 1994年、 臨床心理学者である高垣忠一郎氏によって提唱された意外に新しい言葉です。そして、『自分を「価値のある人間だ」と好意的に捉え、大事にされるべき存在であると思える感情や態度のこと』を示しています。皆さんは、自分自身をどのように感じていますか。ところで、日本の子どもたちの自己肯定感が、国際的な視点から比較すると低いという結果も示されています。一方で「謙遜」が美徳である日本人は、ある意味自己主張が強いことが「美徳」とされる文化圏の子どもたちと単純に比較をすることが「適切ではない」とも言われています。
「自分は優柔不断でなかなか物事が決断できないタイプ」と自分を嘆く人がいるかも知れませんが、逆に考えれば「物事に当たる際に、慎重に様々なケースを考えたうえで、丁寧に行動を起こすタイプ」と捉えることもできます。あるいは「せっかちで、早く物事を済ませなければならないタイプ」の人は「物事の判断が早く、実行力のあるタイプ」ということもできます。そのように物事を俯瞰して見ていくと、もっともっと自分を受け入れることが楽になると思います。自身が受け入れられない点があったとしても、逆に社会生活のある場面では、そのこと自体がプラスになり得る可能性も否めません。自分自身を客観的に知ることができれば、社会対応力も飛躍的に増すはずです。
ましてや、大東生は、「とても温厚で人の立場で物事を考えることができ、優しく芯の強い性格を有している」と、皆さんの普段の活動から私自身も感じています。社会の中で貴重な存在になると確信をしています。
さて、発想の転換が自身の気持ちを変えるというような話をさせて戴きましたが、発想の転換は物事の常識を覆すこともあります。
皆さんはアインシュタインをご存じですか。そうです「相対性理論」を発表した歴史的科学者の一人です。アインシュタイン自身は、他の歴史に残る偉大な天才科学者とは違って識字障害を持ち、子供時代、学生時代は決して優秀ではなかったと言われています。実際、アインシュタインは大学卒業後、大学で研究者としてのポストすら得ることができませんでした。アインシュタインの強みは、そのような逆境をものともせず、自身が遂行したい研究を特許庁の職員として働きながら続けることができた前向きさであると思います。そして、26歳の無名科学者が「相対性理論」を発表し世界を驚かせたのです。
「私は天才ではありません。ただ、人より長く一つのことを考え続けてきただけなのです」これは、アインシュタインの残した有名な言葉です。「時間の進み方は常に変わらない」という当時の常識を覆す原動力は、アンシュタインの発想の大きな転換にあったことは間違いありません。
最後になりますが、大東文化大学の建学の理念・特色をもう一度思い返して下さい。様々な文化を吸収し、新しい文化を創造していくことを大切にした先人たちの姿勢。この姿勢は、多様性を受け入れることでもありました。皆さんはそのような伝統をしっかりと受け継ぎ、ダイバーシティの精神を自然と養ってきたはずです。その意味や重要性については、これからの社会で改めて感じることになるでしょう。大東文化大学の卒業生・修了生で良かったと感じる時がきっとあるはずです。皆さんのこれからの成長は無限です。是非皆さん一人一人の目標に向かって大きく羽ばたいて下さい。そして、何かに悩んだら、この学び舎を思い出して下さい。私たち教職員はいつまでも皆さんを忘れません。さあ、未来へ向かって歩き始めて下さい。
以上、告辞と致します。