2023年度学位記授与式が3月22日、東京都千代田区有楽町の東京国際フォーラム・ホールAで挙行された。
卒業者・修了者総数は2,560人。学士課程2,528人(文学部562人、経済学部324人、外国語学部308人、法学部351人、国際関係学部191人、経営学部334人、スポーツ・健康科学部284人、社会学部174人)、博士課程前期課程・修士課程31人、博士課程後期課程1人。
学長告辞・高橋進学長
本日、学部を卒業される皆さん。大学院を修了される皆さん。本当におめでとうございます。また、本日ご列席の保護者の皆さま方、教職員の皆さま方におかれましても、長い間ご指導を賜り本当にありがとうございました。
さて、卒業生の皆さんは、入学から約3年間は、新型コロナウイルス感染症の影響で、思ったような大学生活を過ごすことができなかったのではないでしょうか。時にオンライン、時に対面といった変則的な授業を受けざるを得ず、本来友と語り、友と育む人間関係も制限をされた中での生活を余儀なくされたと思います。しかしながら、皆さんはそのような環境下でも、しっかりと勉学に励み、部活動等も工夫を重ね、そして一生の友との交流も育み今日を立派に迎えられています。
また、皆さんの今までの歩みを振り返れば、新型コロナウイルス感染症の猛威だけでなく、幼少の頃には、東日本大震災、そして現在は、ロシア、ウクライナの戦争と、大激動の社会の中に身を置きながら、強く、逞しく、そして柔軟に幾多にも及ぶ危機を乗り越えてこられました。しなくても良い経験をされてきたわけですが、皆さんの経験に無駄はありません。今後皆さんは次の時代を築き上げる中心的存在になると期待をしているとともに、そのような人材として活躍されることを信じて止みません。
ところで、本学は「建学の精神に基づき、東洋の文化を中心として広く全世界の文化に関する諸学を研究・教授し、その振興を図ると共に、東洋固有の文化を尊重し、その伝統的美徳を身につけて豊かな人格の形成に努め、併せて国際的な視野を持ち、世界の文化の進展と人類の幸福の実現に寄与できる有為な人材を育成することをめざす」ということを教育の理念としてまいりました。
そして、正に一世紀にわたり、大学の歴史を重ね、本年度、遂に創立100周年を迎えるに至ったのです。更に、皆さんの新たなる一歩と同じように、次の百年に向けて新たな挑戦を始めます。卒業生の皆さん、卒業後の次のステップで本学園の理念を更に具現化し、多様性が問われる時代の中でグローバル人材として是非羽ばたいて下さい。
さて、先程は、今日的時代は、非常に混沌とした先の読めない社会であることをお話ししました。だからと言って、夢を持たずに、刹那的な毎日を送ることが良いということではありません。
近代においても、明治時代の初期は、時代の変化に翻弄され、時代に圧し潰されそうな時期であったことは、皆さんも周知のことと思います。そのような時代の中で、資本主義の父とも称された、大家渋沢栄一氏が、以下のような名言を残したと言われています。この時代に改めて心に響くことばでもありますので、皆さんに餞としてご紹介致します。
一.夢なき者は、理想なし。
二.理想なき者は、信念なし。
三.信念なき者は、計画なし。
四.計画なき者は、実行なし。
五.実行なき者は、成果なし。
六.成果なき者は、幸福なし。
七.ゆえに幸福を求むる者は、夢なかるべからず。
以上は、「夢七訓」と言われていますが、私なりに解釈をします。
一.「夢」を持たない人は「理想」を抱くことなど難しいですよね。
二.「理想」がない人は「信念」を貫こうという気持ちすら持てません。
三.「信念」をもてない人には、「計画」を立てて事に当たることはないでしょう。
四.「計画」がない人は、行動を起こすこともありません。
五.「実行」しなければ人は「成果」を出すことすらありません。
六.「成果」がなければ人は「幸せ」を実感することもありません。
七.したがって、幸せを求めるのであれば、人は「夢」をもつことが必要なのです。
実に明快です、どうぞ卒業生の皆さん。先の見通せない時代だからこそ、夢と理想を持って、幸福に辿りついて下さい。
最後になりますが、皆さんの成長に寄り添い、皆さんを第一に考えて皆さんを支えてきた方々について、卒業にあたり、改めて考えて下さい。そう、紛れもなく皆さんの両親であり、家族であり、先生方であります。
勿論、感謝をしていることと思いますが、その愛情は当たり前ではありません。皆さんが、更に人格陶冶された社会人となることが、恩返しでもあります。大海原に嫌でも漕ぎ出でなければなりません。大きな波も強風も、これからは皆さん自身が受け止めなければなりません。本日、素晴らしいスタート迎えられましたこと改めておめでとうございます。学長として皆さんを誇りに思います。
理事長祝辞・中込秀樹理事長
本日は、大東文化大学の学士や修士の皆様の卒業式です。皆様ご卒業おめでとうございます。大東文化学園の理事長として心からお慶びを申し上げます。
皆様は、入学式が新型コロナの蔓延により挙行できず、学業の大半も当初は制約された環境の中でしか行うことができませんでした。大変苦しく、辛い思いもされてこられたのではないでしょうか。先生方から直接講義を聞くことができず、画面を通しての学業ではなかなか思うように研鑽を積むことができなかったかもしれません。共に学ぶ者との交流も思うに任せず、孤独な思いをされたことも多くあったことでしょう。しかし、ようやく病の流行も峠を超え、こうやって学位記授与式が行うことができるようになりました。皆様は、苦しい時間を耐え、一歩一歩知見を広めて、必要な過程をたどり、晴れて今日の卒業を迎えられました。お喜びのことでしょうし、皆様のご両親、ご祖父母、兄弟姉妹、保護者の方々など皆様を取り巻く方々も本当にうれしく思っておられるでしょう。私も入学式が中止となってしまったため今回ご卒業される皆様とお目にかかるのは初めてです。別れの時ではありますが、こうやってお会いできることができて本当にうれしく思っております。
これから皆様はそれぞれ思い思いの道をたどってゆかれることになります。民間企業で活躍しようとする方、公務に従事する方、学業を継続し研究生活を送られる方、芸術、文化などの方面に進まれる方、独立して事業や経営をされる方、スポーツ界に入られる方などさまざまでしょう。しかし、皆様は、進む道は違っても、同じ大東文化大学で学業を修め、大学生活という大事な時期に大東文化大学で人格を陶冶されたという共通の経験を持つ卒業生です。100周年という歴史を刻み、まさに100周年を迎えた記念すべき年に皆様はご卒業をされます。このように歴史と伝統のある本学ではこれまで多数の先輩たちを輩出しております。先輩たちは、社会のあらゆる場所にあり、そこでさまざまな貢献をされています。その長年にわたる実績は、動かしがたいものです。皆様は、社会の思いがけないところで、同窓の人々に逢われ、面倒を見ていただいたり、心配をしていただいたりして、感激することが必ず起こります。私も理事長就任の後、仕事で接する方々から、卒業生であると親しげに声を掛けられ、驚いた、感激したことが多々あります。皆様人格に優れた、能力の高い方々でした。その意味で大東文化大学は大変頼もしい大学です。皆様当大学において学業を修められたことに誇りを持ち、胸を張って歩んでゆきましょう。
平凡な言い方ですが、これから長い人生で、山あり、谷ありです、身体にはお気を付けられ、ご無理をならず、しかし安易な妥協はされず、己を貫いていってください。
表彰
学長賞には、2023年度「第28回全日本高校・大学生書道展」(篆刻)部門で大賞を受賞した宮本京佳さん(書道)、2023年度「第28回全日本高校・大学生書道展」(漢字)部門で大賞を受賞した望月豪さん(文学研究科博士課程書道学専攻)の2名が代表して賞状を受け取った。
他にも、第14回全国大学ビブリオバトルゲスト特別賞を受賞した山上出雲さん(日本文)、2023年度「第28回全日本高校・大学生書道展」(漢字)部門で大賞を受賞した後藤夢介さん(書道)、2023バクー世界テコンドー選手権大会男子54kg級に出場した森川亘さん(国際文化)、令和5年度天皇杯全日本レスリング選手権大会女子76kg級で1位の長島水城さん(スポーツ科)が学長賞を受賞している。
卒業生代表挨拶
社会経済学科・星 敬達さん
柔らかな春の訪れを感じる今日、私たちは四年間の学生生活を終え、卒業の日を迎えることとなりました。本日は私たちのために盛大な卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。今日ここで仲間と集い、共に卒業式を迎えられたことをとてもうれしく思います。
思い返すと、大学生活の四年間は瞬く間に過ぎていきました。不安と期待を胸に抱き上京してきた四年前の春を今でも鮮明に覚えています。その年は世界中で新型コロナウイルスが蔓延し私たちも大きな影響を受けました。入学式の中止やサークル・部活動の活動制限、全面オンライン授業化など「本当に大学生になったのだろうか」と疑問を呈す日々でした。
そんな中でも、自分たちが今できることや、やるべき事を真剣に考え行動した一年でもあったと思います。三年次からは制限が徐々に緩和され、制約のない日常生活を送ることができるようになりましたが、対面授業や就職活動が始まり慣れないことばかりで苦労した記憶があります。新型コロナウイルス蔓延という未曾有の事態が学生生活の大半を占めてしまったことは残念ではありますが、それでも自分なりに充実した学生生活を送れたのでは無いかと思います。
私は経済学部に在籍して少子化や人口減少について学びました。一年次の「基礎演習」はオンライン授業であったため、中々友達が出来ない私たちのために、交流の場を積極的に設けてくださり、学生生活の相談にのってくださった濱本先生にはとても感謝しております。
二、三年次には人口減少について研究するゼミに入り、更に勉学に勤しみました。三年次の「経済学部演習成果発表会」では『新型コロナウイルスが人口減少に与えた影響』についてグループ研究を行い発表しました。初めての研究で右も左も分からない私たちのために夜遅くまでご指導くださった布袋先生ありがとうございました。
特に四年間の中で一番印象に残っている授業があります。それは「水産経済学」という授業です。この授業は水産業について経済学的観点から学ぶもので、グループ活動や発表などが多くあり、受講者や先生の全員がアクティブでとても有意義な授業だったと思います。
入学当初、経済学はお金のことについて学んで、たくさん計算する学部という印象がありました。しかし、水産経済学という分野を知ってから、経済学は様々な社会問題について応用できる柔軟性がある学問だということを知りました。他にも、行動経済学や社会保障、財政など、様々な分野の経済学を四年間学んだことで社会問題に対する考え方が変わり、入学当初より視野が広がったように思えます。大学で経済学という学問を学ぶことが出来て良かったと改めて思います。
私たちは本日をもって大東文化大学を卒業します。これから先、進学し更に学問に勤しむ人や社会に出て働く人など、それぞれの道を歩むこととなります。時には思うように行かず辛く苦しく感じるときがあるかも知れません。そんなときは四年間の大学生活で学んだことや培った経験を糧に創意工夫を凝らし、困難に立ち向かっていきたいと思います。
最後になりますが、学長をはじめ本学でご指導ご鞭撻をいただきました先生方、職員の方々、いつも支えてくれた家族、サポートしてくださったすべての方々に深く感謝申し上げるとともに、大東文化大学の更なるご発展と、教職員並びに関係者の皆様の益々のご健勝、在校生の皆様の一層のご活躍をお祈り申し上げ、卒業生代表挨拶とさせていただきます。
中国語学科・仲山 春奈さん
花々の芽吹きが新たな季節の到来を告げる頃となりました。本日は、私たち卒業生のために、このように盛大な卒業式を執り行っていただきまして、誠にありがとうございます。ご臨席を賜りましたご来賓の皆さま、並びに高橋学長をはじめ、諸先生方、ご多忙にもかかわらずご出席くださった皆さまに、卒業生一同、心よりお礼申し上げます。
思い起こせば4年前、これから始まる大学生活への期待を胸に抱きつつ、大東文化大学の一員として新しい一歩を踏み出しました。しかし、新型コロナウイルスの影響で、入学式が中止となり、オンライン授業から始まった大学生活は、入学前に思い描いていたものとは全く異なっていました。慣れないオンライン授業にとても不安を感じていましたが、諸先生方が学生同士の繋がりを作ってくださり、熱心にご指導してくださいました。そのおかげで、不安な気持ちはすぐになくなり、コロナ禍においても、恵まれた環境のなか学業に専念することができたと実感しております。
そして何より、大東文化大学での4年間には、本当にたくさんのかけがえのない出会いがありました。切磋琢磨し合える仲間に出会い、勉強することの楽しさに出会い、そして自分の夢にも出会うことができました。特に、高校生の頃から関心のあった中国語の勉強ができ、大変充実した大学生活を送ることができたと思っております。授業や課題を進めていくにあたり、難しい発音や文法を学んでいく上で、時には大変だと感じることもありましたが、周囲の支えのおかげで乗り越えることができました。
また、多くの同じ時間を共にし、大学生活を語るなかで欠かすことのできない大きな存在が、大学で得た「友人たち」です。自分とは異なる知識や経験、価値観を持つ仲間と出会い、自分を高めることのできる貴重な経験を積むことができたと思います。その友人たちと共によく遊び、そして勉強に励んだ時間は非常に思い出に残り、また有意義であり、この上なく幸せな時間でした。卒業に際して喜びを感じる一方で、友人たちとの別れが訪れることに、寂しさを感じずにはいられません。
本日をもって、私たちは大東文化大学を卒業し、4月から1人1人異なる道を進みます。それがどのような道であっても、大学生活で得た経験や知識を糧に、降りかかる困難に打ち勝ち、飛躍し続けていきたいと思います。そして、私たちを支えてくださったすべての皆さまへの感謝の気持ちを忘れることなく、日々精進してまいります。
最後になりますが、これまで丁寧なご指導を賜りました先生方、ともに学生生活を過ごした友人たち、いつもそばで見守ってくれた家族の支えがあって、本日、卒業の日を迎えることができました。卒業生を代表して、改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。そして、大東文化大学の益々の発展と、皆さま方のご健康をお祈りいたしまして、卒業生代表挨拶とさせていただきます
校歌静聴
司会進行は昨年度に引き続き、DHK(大東放送協会)が務めました。