12月15日、632教室において、飯國有佳子先生の「比較文化論」の履修者を対象に「JICAボランティアセミナー~世界に笑顔をひろげるシゴト~」が行われました。このセミナーは、青年海外協力協会(JOCA)の協力により、青年海外協力隊への参加者の体験談を聴き、学生に国際協力や交際交流について考えてもらうことを目的に企画されました。
青年海外協力協会(JOCA)の松岡耕平氏と青年海外協力隊(JICA)事務局の東山正希氏にお越しいただきました。東山氏は、本学国際関係学部の卒業生です。卒業後の2013年7月から2年間、ドミニカ共和国において「日系社会青年ボランティア(日系日本語学校教師)」として活躍し、現在は、JICA青年海外協力隊事務局海外業務調整課に在籍し、日本語教育分野の業務を担当しています。
はじめに、松岡氏から、JICAボランティア事業の目的や種類、応募から選考・派遣までの流れが説明されました。松岡氏によれば、大東文化大学からの青年海外協力隊へのこれまでの参加者数は68名に上り、シニア海外ボランティアにも4名の参加があるそうです。応募にあたって気になるのが語学力ですが、英語圏に派遣されることは少ないという事情などもあり、「英検3級、TOEIC330点以上」が基準となっているとのこと。
青年海外協力隊の概要説明の後は、東山氏から、青年海外協力隊(JV)に応募するまでの経緯や、ドミニカ共和国でのボランティア活動の体験談を語っていただきました。
東山さんは、中学生の時、TVを見てJVに興味をもち、高校時代には、AETの仕事ぶりを見ながら「英語の苦手な自分でも海外で活躍できる」日本語教師に関心をもったといいます。20歳で、JVへの応募を考えたものの、語学力と、何よりも自分に自信がもてずにいったんは断念したそうです。しかし、就職を真剣に考えはじめた3年生の10月、JVへの応募を決意し、日本語教師養成講座に通学し、JVに挑戦することになりました。
「九州+高知県」ほどの面積のドミニカ共和国の首都カントドミンゴを拠点に、東山さんは、全国6つの日系日本語学校で、6歳から18歳までの少年少女に日本語や日本の文化を教えていました。東山さんが力を入れて取り組んだのは「移住学習」。子どもたちに自己のルーツを理解させることによって、三世代間の交流を促進し、日本語の学習意欲を高めることが目的です。移住学習に限らず、学習全般において「上級生が下級生を教える」形態を大事にしたそうです。
講義の様子
熱心に質問する学生
2年間のボランティア活動を振り返り、東山さんは、後輩たちへの次のような熱いメッセージで、体験談を締め括ってくれました。
「将来の夢は?」と尋ねられると「○○になりたい」と、職業で答える人が多いが、大事なのは「夢」! 職業は「夢」を叶えるための手段の一つにすぎない。自分の進路を明確にするためにも、就職の目的をはっきりさせるためにも、生涯をかけて叶えたい「夢」をもつことがやはり必要なのではないか。その夢を見つけるために、学生時代にしかできないことをやって欲しい。失敗しても挫けずに自分の夢を見つけてもらいたい。人は、成功からではなく失敗から学ぶものだし、何度でも失敗できることが学生時代の特権。決断するときには、誰でも不安や怖さを感じます。しかし、興味のあること、実現したい夢があれば、必ず一歩前に踏み出すことができるはずです。経験は時間をかけて積むことができますが、チャンスは積むことはできません。チャンスは、その瞬間の一回的なものだからです。
国際関係学部から青年海外協力隊に参加したOBの一人に、2005年から2008年までパプアニューギニアで活躍した国際関係学部事務室の山田岳さんがいます。東山さんに続いて、齋藤秀旭さんが今年7月にブラジルに着任し、そして、2016年には、坂下東士さんが、西アフリカのベナン共和国に派遣されることが決まっています。
考えてみれば、東山さん以後、国際関係学部の卒業生が世界中のどこかでJVとして活躍していることになります。学部にとってもたいへん誇らしいことです。国際関係学部の一つの伝統になりつつあると言えるのではないでしょうか。セミナーに参加した学生たちには「もっとアジアへ、そして世界へ」積極的に飛び出し、この伝統を継承していってもらいたいものです。