今期は前期に引き続き、基本的なステップを習得しながら、様々な手の形を練習しました。バラタナーティヤムの理論では片手のハンドジェスチャーは約28種あります。学生たちは最初、通常ではまず使わない指の曲げ方にとまどっていましたが、次第に身体のポーズやステップを踏みながらジェスチャーを次々に繰り出していけるようになりました。
今期はガネーシャ神を讃える踊り(ガネーシャ・ヴァンダナム)を習得しました。ガネーシャはヒンドゥー教の神格の一つで、象の顔をもち、小柄で太鼓腹のユーモラスな姿で親しまれています。
障害を取り去ると信じられていることから、事始め(新学期、事業、舞台etc.)の際には必ずガネーシャ神に祈りを捧げます。
踊りの中では「ネズミに乗り、モーダカ(お菓子)を手にもったガネーシャ。大きな耳をもち、小柄な姿をしている・・・シヴァ神の息子であり、障害を取り去ってくれる。そのようなガネーシャ神に祈りを捧げます」といった歌詞に合わせ、を身振り手振りで表現します。
振付を一通り習った後は、学生たちはグループに分かれてフォーメーションを考えました。一人で踊る時とは異なり、見る側の視点に立ったバランスのよい配置を考える工夫やメンバーとの阿吽の呼吸が必要となってきます。
教務委員長 新里孝一先生より
7月の発表会も参観しましたが、ステップをはじめ、手の動きや身振りなど、どれをとっても、スピードや躍動感という点で、格段にクオリティが上がっているのに驚きました。
踊りを構成するひとつひとつの動きの意味を理解し、表現を工夫しているようすも感じられました。すばらしいと思います。そして、学生たちの飛び切りの笑顔。小尾先生の指導のもと、稽古を通じて培われたお互いの信頼感が、あたたかくゆったりとした雰囲気を醸しだしていましたね。学生の皆さんには、来年度以後も、インド舞踊をぜひ続けてもらいたいと思います。
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講義を担当した小尾淳先生より
前期では物語性のないステップ中心の踊りを学びましたが、今回は様々な手の形を使いながらマイムで表現する踊りにチャレンジしました。
手と身体の動きを別々に考えながら踊りとして見せるのはなかなか大変そうでしたが、慣れていくにしたがって楽しんでくれている様子が伝わってきました。
1年間という短い間でしたが、皆さん熱心に参加してくれました。この経験がアジアの芸能やその文化的背景に関心をもつきっかけになればうれしいです。
国際関係学部が手がけるアジア芸能には、インド舞踊のほか、韓国の農楽、インドネシアのガムランなどがありますが、多様な芸能のほんの一部にすぎません。もっとたくさんのジャンルで、もっと多くの学生に「アジアの身体とパフォーマンス」を体験してもらえるよう智恵をしぼりたいものです。