2015年8月10日から30日まで、中国現地研修に参加しました。
出発する前までは大気汚染や反日感情を持つ人が多いというイメージを持っていましたが、現地に到着すると思っていたほど汚染を感じることがなく、また中国の人々は、私たちがわかりやすいようにジェスチャーや英語で色々と教えてくれました。
空港からはバスに乗り、21日間お世話になる上海師範大学へ向かいました。大学内はとても広く自然豊かなところで、夕方になると敷地内にあるグラウンドやバスケットコートには学生だけでなく、学外からも小さい子供からお年寄り、家族連れの人たちがたくさん集まり、ウォーキングやジョギング、バスケットボールにサッカーと各々スポーツを楽しんでいる姿を見て、一緒にやりたい、という気持ちが芽生え、何度か一緒に体を動かしたこともありました。
私たちが生活していた学内にある留学生専用の寮は、1部屋ずつにテレビ、冷蔵庫、エアコンが備えられていて、毎日清掃の方が掃除してくれるのでとても居心地がよく、午前中の授業が終わった後にお昼寝してしまうこともしばしばあったほどでした。
授業は8時40分から11時50分までで、女性のネイティブの先生お2人が1コマずつ教えてくださりました。先生方は中国語のみでお話しされるので、はじめは聞き取れなくて、なかなかうまくコミュニケーションがとれなかったのですが、先生方がパワーポイントを使ったり、ゲームをしたり、中国語の歌を教えたりして、楽しい授業をしてくださった。お陰で、次第にネイティブの発音にも慣れてきて、聞き取ることができるようになってきました。内容は、基本的な挨拶から中国で生活するにおいて知っておいたほうがよい会話まで、多彩でした。その日教わった内容を午後の自由行動の時に実践することができるので、日々中国語の上達を自分の肌で感じることができました。
また、研修の一環として文化体験があり、太極拳や中国式書道、上海雑技団の見学ができました。日本では体験することができないことができ、とてもよかったです。
午後の自由時間には上海の観光地をたくさん回りました。主に見学したのは外滩、豫园、南京东路、上海动物园、田子坊などです。一番印象に残っているのは田子坊です。人が二人くらいしか通れない通り沿いにお店がずらりと並んでいて、あちこちでお店の人が客を捕まえ、値段交渉している姿を見ることができました。実際に私も行った。何日か前に授業で教わった値段交渉の仕方を実践してお土産を定価の半額ほどで買ったこともありました。また現地の人とも大学敷地内やレストランなどで知り合って、何人かと連絡先を交換し合い、今でも連絡を取り合っています。
私たちは週末の土日を利用して南京と杭州に旅行へ行ってきました。南京には8月15、16日に行きました。まさか戦後70周年の終戦記念日に南京に行くとは思っていなかったので、とても怖い気持ちでした。印象強いのは「南京大虐殺記念館」で、息を飲むような写真や映像、再現された展示物ばかりがあったことです。見ていたときに感じた胸の苦しさを今でも覚えています。もしかしたら全部が真実ではないかもしれないという思いもありましたが、実際にこの地で日本と中国が戦争していたことは事実であり、中国人を日本人が傷つけてしまったことには変わりはありません。展示物を見ている人が日本人にどういう印象を持ったのかはわかりませんが、そのとき日本人である私の肩身はとても狭かったし、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。報道で中国を叩いているのをよく見かけているが、事実をしっかり受け止め、反省することも大事なのではないかと館内を歩きながら思いました。そして戦争はもう起こしてはいけないということも改めて思いました。
8月22、23日に行った杭州旅行では世界遺産である西湖で船に乗れたのはとても心に残っています。湖の上は風が気持ちよくて半分以上寝てしまいました。また2日目に行った「曲苑風荷」はすごく広い公園で緑がたくさんあり水もあり、絵にありそうな景色があちらこちらに広がっていました。雨が降っていたことが残念だったけど、上海とは全く違うのどかな街並みを自分の目で見ることができてよかったです。
現地研修で印象深かったことの一つとして、上海テレビ局の見学があげられます。日本にいても人生に一度あるかないかのテレビ局見学で私たちはとても楽しみにしていました。実際に行ってみると局中が緊張感に満ち溢れていたのをいまでも覚えています。また引率で一緒に来た鹿錫俊先生がテレビに出演するということで、私たちも収録現場をスタジオで見させてもらいました。上海テレビの見学は現地研修として行くのは今回が初めてとのことだと聞いたので、とてもうれしかったし、海外のテレビ局に行くという貴重な経験ができて本当によかったです。
今回の現地研修で得られたことは、文化も言語も全く異なる人しかいない中で、その環境に慣れた後の楽しさと中国を自分の五感で感じることができたことです。もしずっと日本にいたら、メディアから得た情報でしか知ることができなくて、人の温かさなどは現地に行って触れ合わないとわからないし、メディアが全部正しいということはないのだとすごく実感しました。実際に反日感情を持っている人はあの広くて人がたくさんいる上海でもほんの一握りで、むしろ日本が好きという話をたくさん聞きました。
また、旅行としてではなく現地研修として行ったことで、より現地の人と会話が深くできたと思うし、コミュニケーションも自分からできたと思いました。この先もっと中国語を勉強して話せられるようになりたいと思ったし、それをまた中国に行って試してみたいとも思いました。
反省点として挙げられるのは、上海のなかでももっと隅のほうまで足を伸ばせばよかったということです。中心部しか行けずに地域の格差を自分の目で見ることができなかったのが後悔です。また一人で行動する時間をもう少し作ればよかったと思いました。
中国での研修はあっという間に終わってしまいましたが、これからも進んで自分で行動して、中国について自分の目でより多くの発見をしたいです。
お世話になったところ 思い出を残そう
教室 講義終了後の一服
先生さよなら 最後の授業が終わったとき
太極拳 先生の熱意に感動した貴重な体験
中山陵 研究旅行のひとこま
外灘 息を飲むような夜景
市内見学を記念して
上海テレビ局見学 出演した鹿先生とともに
上海豫園 様々な国籍の人が一つに繋がる場所
文責:日高 虹歩