2月29日、比企地域農業振興協議会の主催による「比企地域農業現地説明会」が開催されました。2016年度には、比企農業の振興を課題に、大学と農林振興センターの連携によるPBL授業が行なわれることになっています。今回の説明会は、そうした連携事業を念頭に、東松山農林振興センターによって企画されました。
本学からは、学部長の新納豊教授をはじめ、「大豆のアジア学」(ふるさと支援隊)の新里教授、根岸正樹氏(花之木営農組合)、松本怜さんと宮村友梨さん、地域連携センターの中野泰彦主査、キャリア特殊講義(旅行産業論)をご担当いただいている水野恭一先生(風の旅行社)、来年度から国際関係学部のキャリア特殊講義(地域文化の探求)をご担当いただくことになっている古橋達弘氏(東松山市役所文化スポーツ課)が参加しました。
いなほてらす
埼玉中央JAの農産物直売所「いなほてらす」(東松山市下青鳥)からスタートしました。「いなほてらす」では、直売所が扱う農産物や運営に関するお話を伺った後に、売場を視察し、地元の食材(栗やいちごや梨など)をつかったアイスクリームをご馳走になりました。お土産に、川越藩のお蔵米を頂戴しました。
いなほテラスの売り場
のらぼう菜の圃場
次の向かったのは、嵐山町志賀地区にある「のらぼう菜」の圃場。生のまま食してみると意外や意外「噛めば噛むほど甘くなる」といった感じです。「比企のらぼう菜」の復活・普及を目指して「のらぼう菜うどん」やのらぼう菜で作った青汁「のら緑」なども販売されているとのこと。
のらぼう菜の圃場
桜井農園のクジャクソウ
車内から小川町にある福寿草の圃場を見学しながら(福寿草の産地は年々減少の一途をたどっているようです)、同町下古寺地区の桜井農園に向かいました。桜井農園が手がけているのは「クジャクソウ」です。後継者の育成に熱心な経営者から、オリジナル品種の育成やそのための「電照抑制栽培」についてご説明いただきました。
電照抑制栽培
東秩父村で
「クジャクソウ ハウス」の後は、「和紙の里」東秩父村に入り「ハナモモ」や「サクラ」を出荷している豊田農園で「ハナモモ促成室(むろ)」を見学しました。
昼食は、東秩父村の「世界一小さな釣堀」のある「銀鱗亭」でいただきました。
川魚、野菜の天ぷら、蕎麦、そしてたくあんのお漬物。若いシェフが手がける料理の悉くに、一同が舌鼓。件の「世界一小さな釣堀」、稚魚のために2時間に一度の餌やりが欠かせないのだそうです。「銀鱗亭」では、東秩父村で「地域おこし協力隊」として活躍中の西沙耶香さんから、東秩父村の「村おこし」に関するお話を伺うことができました。
稚魚の餌やり
国分牧場と横田農園のいちご、そして川島のイチジク
午後のスタートは、東松山市古凍地区にある「国分牧場」。パンフにはこんなこだわりが。「『自分の子供に安全な牛挽肉でハンバーグを作ってあげたい』そんなささやかな思いからはじめた直売所です」。お土産に、ビーフジャーキを頂戴しました。
最後の視察先は、吉見町下銀谷地区でいちごの生産・販売を手がけている横田農園です。「10年後の農業経営者を育てる!」と後継者の育成にも余念のない横田進氏のお話を伺いました。生産だけではダメ。販路を開拓することが成功の秘訣とも。駅前テナントに直売所を運営し、ネットショップにも挑戦中とのことでした。大粒の「とちおとめ」を頂戴しました。
帰途、川島町のイチジクの圃場を通り、イチジクの「雨除け栽培」を見学しました。川島産の「ドライいちじく」をお土産にいただきました。
国分牧場
2016年度の連携事業に向けて
国際関係学部では、2016年度に『地域』をテーマにしたさまざまな授業が開講されます。「比企学入門」「地域文化の探求」「旅行産業論Ⅰ・Ⅱ」「観光資源開発論」等々。
「地域文化の探求」の課題出しは、東松山農林振興センターにご担当いただくことになっています。「米の販路拡大」「直売所の販売戦略」「農産物の加工品開発」「農業後継者の育成」等。今回の視察だけでも、比企地区の農業の潜在力の豊かさを確認することができたような気がします。学生たちには、比企の農業、延いては、県内で人口減少率のもっとも著しい比企地区の地域資源の掘り下げに関心をもち、主体的に授業に参加してもらいたいものです。
謝辞
今回の説明会を準備段階から取り仕切っていただいたのは、東松山農林振興センターの黒澤健一副所長、加藤修一部長、韮塚功部長です。お三方は、移動中の車中でも、ときにユーモアを交えながら(韮塚ワールドはすばらしかったですね)、農産物や農業について実にわかりやすく、とても愉快な説明をしてくれました。同センターの栗原菜月氏には、視察全般にわたって細やかなお世話をいただきました。たいへん有意義な視察になりました。
埼玉中央JAの高橋利治部長と坂本勝行課長補佐には、「いなほてらす」以後も全行程にご同行いただきました。ありがとうございました。