2011年のエジプト現地研修は、最初から最後まで異例ずくめだった。年明け早々からエジプトで反政府デモが激化を続け、のちに「1月25日革命」と呼ばれる政変が勃発した。
政変自体は、2月11日にムバーラク大統領が辞任して一応の決着を見たため、4月の現地研修の受付は予定通りに行なった。しかし、暫定政権を担った軍最高評議会への不満によるデモ再発や警察機能低下による治安の悪化が伝えられ、現地の状況を注視しながらの準備作業となった。
報道を確認することはもちろん、現地在住の複数の知人に連絡をとって情報の収集に努めた。その結果、研修を中止するだけの理由は見出せず、9月より研修を開始した。
我々は最後までデモに接触することはなかったが、我々の帰国後には、コプト教徒のデモ隊や軍最高評議会を批判するデモ隊と治安部隊との衝突が断続的に続き、革命後のエジプトが未だ流動的な政治状況にあることを、改めて実感した。
反面、研修は極めて順調に進み、こちらの「異例」は大いに歓迎すべきものだった。特に体調の管理は優秀であり、2週間のアラビア語研修では皆勤3名、半休1回2名、全休1回4名のみという過去にない素晴らしい出席状況であった。語学学校以外でも、アレキサンドリアやカイロの市街を自分たちで積極的に出歩き、見て、食べ、買い物をして、楽しんでいた。
いつ中止になってもおかしくない状況下の研修で、かえって参加学生は例年以上にエジプトを満喫していたように思える。