教員紹介/Professor
教員紹介
髙橋 睦美(たかはし むつみ)
【自己紹介】
子供の頃は恐竜が大好きで、将来は古生物学者になりたいと思っていたのに、いつのまにか歴史小説や漢詩を読む高校生になり、大学では文学部に入りました。そうして思い返すと、現在の研究テーマである中国の老子の思想には、ずいぶんと後になって興味を持ったことになります。その老子の思想にしても、最初はあまり好きではなかったのです。嫌いなものを研究するのも面白いかと思っていたのですが、すっかりミイラ取りがミイラになって今に至ります。老子のキーワードである「無為自然」は、いろんな解釈が可能ですが、あえて身近な言葉で説明するなら、身の丈に合わない無理をせず、自分の本質に立ち返ること、本当に自分らしく生きることだと思っています。現代に生きる私たちにとって、今こそ必要な考え方ではないでしょうか。
【学生へのメッセージ】
中国の古典、特に思想の文献というと、お説教臭くてまじめでつまらないと思うかもしれません。なにしろ古めかしい漢文で書かれていますし、仲よくするにはハードルが高そうですよね。でも、そのハードルを頑張って乗り越えると、その先では、イキイキとした、思った以上にハイテンションな思想家たちの生の声が聞こえてきます。みんなクセが強すぎて一筋縄ではいかない人物ばかりです。私たち教員がサポートしますので、みんなで一緒に中国古典の世界で遊びませんか。
【ゼミのテーマ紹介】
広く中国の思想に関する文章を年替わりで読んでいます。例えば、後漢の時代に、当時の迷信を攻撃して自説を展開した王充の『論衡』。合理主義者として名高い思想家ですが、彼の「合理」が、現代の目から見ると相当に不思議で面白いです。それから、『易経』を読んだ年もありました。本来は占いの書物である『易経』ですが、今すぐ使える処世の知恵がぎっしり詰まっています。一番最近扱ったのは、朱熹の『大学章句』です。朱子学において、学問をする人間がまず読むべき書物であるとする『大学』に、朱熹が解釈を施したのが『大学章句』です。至ってまじめな内容ではありますが、朱熹先生は、本来の『大学』の文章構成を大幅改変した上に加筆しております。この大胆さは見習いたい。このように、毎年文献を変えてはいますが、今の私たちにとって面白く、役立ちそうなものを選んで読んでいます