生協活動から見た現代社会の諸相
大東文化大学と生協総合研究所は、持続可能な消費と社会の実現を目指して、学生たちが自らの選択と行動が現在および将来の世代にわたって倫理、社会、経済、環境に影響を及ぼすことを自覚し、公正で持続可能な社会の形成と改善に主体的・能動的に参画する消費者市民として成長するよう、その教育的支援としてこの講座を2015年度に開設しました。
21世紀に入って経済のグローバル化が急激に進行するなかで、私たち消費者の消費する商品やサービスは、さまざまな国や場所で生産されています。専門店やデパートに陳列されているファストファッションなど以前は数万円もしたものが最近は数千円で買えるものがあるなど、値段の幅も広がりました。また、ショッピングの方法も、近隣の商店街やデパートでの買い物が主流であったものが、大型の量販店やショッピングモールでの買い物、さらにはインターネットによる取引など多様化しています。
選択の幅が広がり、低価格で便利に買い物ができることは、消費者にとっては有益であるが、一方で大量消費、大量廃棄に伴う資源の無駄や環境問題、近隣商店街の衰退による買い物難民の出現などさまざまな社会問題をひき起こしています。また、安価な商品の中には、劣悪な労働条件により労働者の健康被害を惹き起こしているものや、児童労働などのさく取によって安い価格が維持されているものがあります。
こうしたなかで、私たち消費者が自らの消費行動が倫理、社会、経済、環境面に与える影響を考え、「買い物が経済社会における投票行動である」という意識をもって、公正で持続可能な社会にとって望ましい選択と行動をすることが求められています。商品やサービスを購入する際に、フード・マイレージ、カーボンフットプリントなど環境負荷や値札に現れないコストを意識する、フェアトレードやオーガニックの商品に関心をもち、可能な範囲で取り入れる、「地産地消」にこだわるなど地域にお金が回るかどうかを考える、自分たちの預金・投資が何に、どこに使われているかを意識する、問題があったときは事業者や行政に対し積極的に働きかけるなど、私たち消費者ができることはいろいろあります。経済社会において、さまざまな商品やサービスの選択と消費行動を通じて、ヒト、モノ、カネ、情報の流通のカギを握る真に「消費者主権」社会の主役としての意識をもった消費者こそ消費者市民であり、そうした消費者に活動の場が与えられ、またそうした活動によって支えられる社会が消費者市民社会です。
この講座は、生活協同組合(生協)や生協活動からみえる現代社会の課題と公正で持続可能な社会の実現のために私たちが実践すべき消費行動や社会参画について、学生に理解を促すことを目標としています。
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