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現代経済学科

学科主任メッセージ

制約の中で行動すること

写真:学科主任
現代経済学科主任池田 剛士Ikeda Takeshi

新型コロナウィルス感染症の広がりは、人々に大きな制約をもたらしました。流行の期間中は通勤・通学の制限、旅行の制限、会食の制限、コンサートの制限などなど、様々な活動が制限され、多く制約の下で日常生活を送らざるを得なくなったわけです。しかし考えてみると、いついかなる時も「完全に自由な人間」というのは存在しません。人間は社会の中で、様々な人や組織、制度と結びついて暮らしており、必ず何かの制約を受け行動しています。物心ついた頃から存在する制約は、もしかするとそれが制約であることに気づかないこともあるかもしれません。つまり、「与えられた制約の下で行動する」ことは人間の宿命ともいえます。
もう少し具体的に考えてみましょう。あなたは、明日、友達と渋谷に遊びに行く約束をしているとします。すると「何をして遊ぼう?映画?それともカラオケ?ランチは何を食べよう?あと、買い物に行くって言ってたけど、どの店に行こう?」と様々な選択をすることになります。このとき、何が制約になるでしょうか?そう、まずはお財布と相談、つまり「予算制約」です。ランチの店を考える際に、予算を無視して行動することはないでしょう。「限られた予算の中でいかに自分の満足度を高めるか」を考えることになります。他にも時間の制約(映画とボーリングとカラオケとショッピングとカフェ巡りを1日でやるのは難しいですよね。)や年齢の制約(未成年者はバーには入れませんし、22時までに帰宅しないといけません。したがってこれは、「法律による制約」と言っても良いかもしれません。)、天候の制約(猛暑日に長距離を歩くことは現実的ではありません。)など、時には無意識にこれらの制約を考慮した上で行動しているわけです。
このように、様々な制約がある中で人々が幸せに暮らすにはどのように行動すれば良いのでしょうか?実は経済学はそのことを考える学問であるといえます。

経済学で学ぶこと

経済学部に入り、皆さんがまず学ぶことは人々や企業が様々な制約の下、どのように行動するのか、ということです。「限られた予算の下、満足度を最大にするにはどのように買い物すれば良いか、利益を最大にするにはどのように生産活動をおこなえば良いのか」などです。時には、「限られた資源の下、国民が最も幸せになるために政府はどのような政策をおこなえば良いか」ということも考えていくことでしょう。これは与えられた制約に対し、合理的に判断し、論理的に考えた上で最善の行動をとる訓練であるとも考えられます。
新型コロナウィルス感染症の拡大は、人々の行動を大きく制限しました。感染症の拡大を自分一人の力で解決することは不可能ですが、しかし、それをただ嘆いているだけでは、幸せにはなれません。大きな制約が与えられたとしても、その中で自分が幸せになるにはどのように行動すれば良いか、経済学部でしっかり学び、自分なりの答をぜひ見つけてください。