11月14日火曜日午後、板橋校舎多目的ホールにて「2023年度秋季英文学会講演会」を開催しました。講師は立正大学の伊澤高志先生、題目は「さまざまな『ロミオとジュリエット』――アダプテーション研究の立場から」でした。
アダプテーションを「原作に劣るもの」とするのではなく、それ自体作品としての価値を持つものと捉える立場から、シェイクスピア作『ロミオとジュリエット』がヨーロッパ、アメリカ、そしてさらに日本において、どのようにアダプテーション作品を生み出してきたか、お話し頂きました。
シェイクスピアによる『ロミオとジュリエット』原作(実はそれ自体がアダプテーション)の中の場所と時代だけでなく、さらに対立関係の種類が、二つの対立する家族から、二つの民族、二つのマフィア(そして何と二つの異なる昆虫!)等に変更され、映画、舞台を初めとする様々な媒体を通じてアダプテーションが生み出されてきました。紹介されたアダプテーション作品は、『ロミオとジュリエット』の数々の映画版を初め、『ウェストサイド物語』、舞台を日本に移した『パッチギ』、『虫が演じるシェイクスピア 「ロミオとジュリエット」』、また手塚治虫による漫画版等々、驚くほど多岐に渡りました。アダプテーションの過程で、原作とは異なる視点で物語が語られたり、原作では問われなかった問題が取り上げられたりする―そもそも対立する集団は犠牲を以てそう簡単に和解するものなのか、等―ことで、アダプテーションが作品として独自の価値を持つようになることが、伊澤先生のお話でよく分かりました。
シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の新たな視点での楽しみ方を教えて下さった伊澤高志先生に、この場を借りて感謝申し上げます。※1
講演会の後、休憩を挟んで、2024年度開講されるゼミナールの紹介が、各ゼミの現役ゼミ生や担当教員によって行われました。
2020年度以降コロナ禍で対面での英文学会が開催されませんでしたが、今年の6月の東松山校舎での講演会に続き、英米文学科生が一同に集う活気溢れる会となりました。
最後に、今回ボランティアとしてお手伝い頂いた3年生の皆さん、ありがとうございました!
※1 伊澤高志先生に直接メールで質問をしたい方は、英文学会担当教員の小池剛史・菊池かおりまでご連絡ください。