2月24日(火曜日)、地域研究学会 民族資料研究班による「小学生のためのアジア理解講座」がスタートしました。デビュー戦の舞台となったのは、ときがわ町立萩ヶ丘小学校。3、4年生の児童、そして田中恵子校長をはじめとする先生方のあたたかい歓迎をうけ、「韓国の文化を知るための授業」が行なわれました。緊張の「初舞台」でしたが、児童たちの人懐っこい笑顔にささえられ45分にわたる講座をなんとかやりきることができました。
校長先生のご挨拶に続き、五十嵐沙弥さんの司会で授業がはじまりました。「韓国はどこにありますか?」。パヂチョゴリを着た学生が、日本と韓国の習慣や文化の違うところ(電車内の優先席など)と似ているところ(食事のマナーなど)をスライドで説明します。小学3、4年生とはいえ、きちんとメモをとりながら授業を聴くことがちゃんとできています。たいしたものです。
チマチョゴリをまとった女子学生が、伝統音楽の「農楽」とそれに使われるさまざまな打楽器(チン、チャンゴ、プク、ソゴ、ケンガリ)を紹介した後は、学生によるサムルノリの実演です。この日のために何度も練習を重ねてきたというだけあって、元気いっぱいの堂々とした「ノリ(演技)」でした。「かたちにはなっているんじゃないか」。新納学部長もお褒めの言葉をひとくさり。
農楽(韓国語ではノンアク)は風物(プンムル)とも呼ばれ、朝鮮半島の人々の生活と深く関わりながら発展してきた伝統芸能です。豊作祈願や収穫を祝う他、庶民の貴重な娯楽として重要な役割を果たしてきました。
実演の後は、待ちに待った民族衣装の試着と楽器の実習です。普段から和太鼓を練習している萩小の子どもたち、重い太鼓もなんのその、バチ捌きもさすがです。
パヂチョゴリやチマチョゴリの着心地はどうですか?「ちょっと重い」「さらさらしていて気持ちいい」「つるつるしていて着やすい」などと、少しはにかみながらとても嬉しそうに語ってくれました。みんな可愛らしく、とても似合っていましたよ。
最後は、子どもたちからの質問です。「韓国の主食はなんですか」「家の中はどうなっていますか」「韓国の有名な観光地はどこですか」「韓国のお金の単位はなんですか」「人気のあるアニメや漫画はなんですか」「お寿司など日本の料理は食べられているのですか」「韓国の人はなぜキムチを食べるようになったのですか」などなど。子どもたちの素朴で真剣な質問に、研究班の学生も、子どもたちにわかる言葉を慎重に選びながら必死に(?)答えていました。
木の心地よい香りの漂う体育館での授業の後には、田中校長先生の計らいで、子どもたちといっしょに、懐かしい(!)給食をご馳走になりました。
それだけではありません。昼休みをはさんで、校長先生には『埼玉モダンたてもの散歩』にも紹介されている、「木のまちときがわ」を代表する木造校舎を案内していただきました。帰りにはほとんど全校児童がハイタッチで学生たちを見送ってくれ、期せずして感動的なお別れ会になりました。
萩小の先生と児童のみなさん、民族資料研究班の「初舞台」を温かく激励してくださりありがとうございました。田中恵子校長先生の至れり尽くせりのご配慮に心より感謝申し上げます。
民族資料研究班は、本日の経験を生かし、4月以後は、テーマをアジア全域に少しずつ広げ、東松山市を中心とする近隣の小学校をボランティアで回るなど、小学生にアジアを知ってもらうための活動を続けます。思わず「アジア理解キャラバン」とでも名づけたくなるような学生の自主的な企画による社会・地域貢献ボランティア。これからの活躍が楽しみです。
☆田中恵子校長先生のお話
本校では、地域の歴史や文化を学び、日本の特色やよさに気付かせるとともに、諸外国の特色やよさを学び、グローバル人材の育成を目指しています。本日の「韓国について」の授業では、日本と韓国の相違点を分かりやすく説明していただき、さらに民族衣装や民族楽器を体験でき、貴重な時間となりました。
キャリア教育の視点からも、はつらつと取り組む大学生の皆様の姿は、子供たちにとってあこがれとなり、これからの目標にもなりました。
貴重な学習の機会を与えていただきましたことに、心より感謝申し上げます。
☆学生たちの感想
初めての経験で私たち自身の余裕がなく、小学校の先生方にもサポートしていただきながら、なんとか終えることができました。このような経験を通して、国際理解に興味を持つきっかけになってくれると嬉しいです。(2年 五十嵐沙弥さん)
みんな楽しそうに授業を受けてくれ、内容が3、4年の子どもたちにあっていると感じました。実際に伝統衣装を着てもらったり、楽器を使うことによってさらに関心をもってくれたように思えました。次回からは、やり方を工夫し流れをスムーズすることによって、もっと体験学習の時間に費やせると思います。(1年 田中菜央さん)
小学生との会話の中で、わかりやすい簡単な言葉で説明するのが難しかったです。(2年 原賢也さん)
小学生たちは事前に韓国についての学習をしてくれていたせいでしょう、とても興味をもって小学生らしく好奇心旺盛に授業を受けてくれました。限られた時間の中でしたが何とか準備も整い、みんな納得のいく発表ができたと思います。(2年 稲村悠典さん)
日本との違いをふまえながら韓国のことを発表したことが子供たちの韓国への興味に繋がり、よかったと思います。子供たちの質問に対して全員が答えられるよう準備しておくことが次回の課題だな、と感じました。(1年 蕪木真梨弥さん)
☆昨年12月には、萩小6年生が国際関係学部の民族資料室を訪れ、インドネシアのガムランを体験しました。
参考: 農楽と同様の楽器を用いた現代音楽に「サムルノリ」があります。サムルノリは4種類の打楽器、ケンガリ(小金)・チン(銅鑼)・チャンゴ(長鼓)・プク(太鼓)を使用し、韓国の各地方に伝わる伝統的なブンムル(風物)農楽のリズムをまとめ、再構築した打楽器アンサンブルです。「サムル」は「四物」、「ノリ」は遊ぶ、演技する、PLAYを意味し、四種の楽器で演奏・演技することを意味します。その独特なリズムやスピードが多くの聴衆を魅了し、世界各地で親しまれています。(国際関係学部主催 第5回アジア芸能の夕べ・パンフレット6頁より)