11月18日、東松山市立松山中学校において、3年3組の40名の生徒を対象に「中学生のためのアジア理解講座」が実施されました。大学院アジア地域研究科のシュレヤ・ワグ(श्रेया वाघ)さんが講師を務めました。
インドの地理と歴史
講座のテーマは「インド」。インド共和国の面積は3,287,590k㎡。これは世界第何位でしょうか?(第7位)。ちなみに、シュレヤさんの出身地のマハラシュトラ州の面積と日本全土の面積がほぼ同じだということです。12億人を超える人口をもつ大国インド。「インドは国というより大陸である」と表現されることがあるように、民族や言語や生活文化を異にする29の州から構成されています。
地理の次は歴史です。ムガール帝国とイギリス植民地支配の時代を経て1947年8月15日に独立をとげたことが簡潔に説明され、デリー、ムンバイ、コルカタ、バンガロール、チェンナイなど現在の主要な都市のようすが紹介されました。
大東文化大学大学院アジア地域研究科 シュレヤ・ワグさん
インドと日本の比較文化論
中学生の興味を惹き付けたのは、やはり「文化」に関する話でした。シュレアさんは来日後の体験をふまえインド文化と日本文化の共通点と相違点を具体的に説明していきます。ひな祭りとチャイトラ・ガウリ、鯉のぼりとグディ・パドワ、お盆とピトラ・パクシャ、月見とコジャギリ。「似ていると思いませんか?」というシュレアさんの問いかけに、生徒たちは大きく頷いていました。その他、たこやきとアッペやお好み焼きとマサラ・ドサなどの食文化や右ハンドルなど数々の共通点が指摘されました。
インド文化と日本文化の相違点についての話は、生徒たちの笑いを誘っていました。「インド人は雨が好きです。でも、日本に来てから雨が嫌いになりました」とシュレアさん。「インドでは待ち合わせの時間に遅刻しても大丈夫です。授業の遅刻はもちろんダメです!」「裸でみんなといっしょに湯に浸かる温泉には抵抗がありました(インドでは朝起きてヨガをした後にシャワーを浴びるのが一般的)」「インド人は毎日カレーを食べているわけではありません」「インドでは女の子も正座をしなくて大丈夫です」・・・。プチ「比較文化論」さながらの趣を呈していました。
たくさんの質問
シュレヤさんの話の後、授業終了のチャイムが鳴るまで、生徒たちは次々と手を挙げ質問をしていました。「インドのカレーはどのくらい辛いのですか」「日本のカレーを食べてみてどんな感じがしましたか」「ヒンドゥー教の人は本当に牛を食べないのですか」「シュレアさんは、日本のどんな食べ物が好きですか(パンと麺類が大好きだそうです)」「待ち合わせの遅刻は何分まで許されるのですか?」「若い人の娯楽は何ですか」「インドはどのくらい暑いのですか(シュレアさんにとって日本の湿度の高い夏はインドよりきびしいそうです)」等々。
「インド人は毎日カレーを食べているわけではありません!」。シュレアさんの話を聞いて、インドの気候や食文化について、認識をあらたにした中学生も少なくないのではないでしょうか。今回のアジア理解講座が、数ヵ月後には高校生になる生徒の皆さんの、異文化への関心や寛容をはぐくむきっかけになることを期待したいと思います。
▲たくさんの質問をいただきました
余録・もうひとつのアジア理解講座
お隣の教室を覗いて見ると、黒板にはウルドゥーの文字。パキスタンに関する授業が行なわれていました。講師は、古橋達弘さん。古橋さんは、大学院アジア地域研究科のOBで、パキスタンへの留学経験もあります。現在は、東松山市役所の文化スポーツ課で国際交流の業務に携わっています。