秋季英文学会・英米文学科講演会が開催されました
2019年度秋季英文学会が11月29日(金)に、板橋キャンパス多目的ホールにて、開催されました。午前の部では、「シェイクスピア『ロミオとジュリエット』の翻訳と翻案」と題し、英文学会実行委員が学生発表を行いました。午後の部では、日本を代表する翻訳家、文芸評論家である鴻巣友季子先生をお招きし、「アダプテーションにおける“貞節”と“裏切り”」という演題で、ご講演いただきました。
午前の部では、英文学会実行委員の学生が3つの班に分かれ、特に『ロミオとジュリエット』に焦点を当て、英語学・翻訳・アダプテーションという観点でアプローチし、研究発表を行いました。
午後の部では、日本を代表する翻訳家・文芸評論家である鴻巣友季子先生をお招きし、「アダプテーションにおける“貞節”と“裏切り”」というテーマでご講演をしていただきました。英米文学作品を翻訳する上での苦労や工夫を交えつつ、翻訳とはまた異なる創造的営為としてのアダプテーションの核心に迫る内容から、わたしたちはとても多くの知見を得ることが出来ました。
アダプテーションの定義は非常に幅広く、わたしたち実行委員の発表では、十分に突き詰めることのできなかった点もありました。それらの不足した点を埋めてくださるかのように、鴻巣先生はアダプテーションの本質について、理解の助けとなるような例え話や、ユーモアのある冗談と裏話を交え、また直接学生たちに問いを投げかけることで、非常に興味深いお話をしてくださいました。逐語訳に近く、原文の英語をそのまま日本語へと移し替えることを追求する「忠実な翻訳」と、英語の原文から乖離することを恐れず、日本語として自然な表現を追求する「透明な翻訳」との対比には、特に大きな関心を抱きました。質疑応答のセクションにおいても、この点に関わる質問を始めとして、学生たちからの様々な疑問にも熱心に答えてくださり、結果として、私たちは翻訳という行い、そして翻案という試みに対して、よりいっそう深い好奇心を抱くことになりました。